たちきれ線香

 

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落語によく出てくる

遊び好きの若旦那

毎夜毎夜のお茶屋通い

 

 一味違う

小糸への一途の恋

番頭に叱られ蔵住み100日

80通の手紙知らず

 

忘れる決心

芝居の約束も

ついぞ想い出さず

最後の手紙を手に急ぎ足

小さな位牌

ひたすら待ち続けていた小糸の名

 

若旦那からの三味線

痩せ細った身体に抱き

一度鳴らして息絶えた

 

聞こえる三味線

「雪」の調べ

小糸の想い

線香とともに立ち切れる

 

すれ違って

掛け違って

結ばれない恋も多し

一時の輝き

はかないからこそ美しい

 

いつの世も

どうしてか人は

一途の想いに涙する

 

誰しもが秘める瞬間だからだろうか