抜け雀

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浄瑠璃 「双蝶々曲輪日記」より

「親に籠をかかせた」

 

 

宿代にと

衝立に書かれた5羽の雀

絵から抜き出る噂が客を呼ぶ

 

小田原の殿さん

千両の値を付けるが

約束で売れない

 

ある日のこと

老体現れ「この雀は死ぬ」

 

絵に加えられた鳥籠に

雀が入ってまた客を呼ぶ

 

小田原の殿さん

二千両の値に

 

始まりは宿の亭主の人の良さから

 

絵の良さも知らず

書かれるたびに価値を疑い

そのたびに価値は上がる

騙されて買った株が

思いもせぬ値上がりをするような

 

老体の子の絵師

思い上がりと親不孝を嘆く

今世、我も

「親に籠をかかせて」

平気な顔をしていまいか・・・

 

果たして宿の主人

雀の絵

最後は売ったのだろうか?

売らない方が客は来る・・・

 

それがどうにも気に掛る