八五郎坊主
「つまらん奴は坊主になれ」
考えてみると、それは自分のことだと気付いた八五郎
出家のためにずく念寺へ
つけてもらった名前は「法春」
親なし、兄弟なし、嫁はんなし、子供なし、家なし、仕事なし
それをどうするという知恵もなし
「つまらん奴」の八五郎坊主は
何も持たないからこそ
誰彼なく愛される人
愛されるべく人
友に訊かれて答えた名は
「はしかも軽けりゃ『法春』も軽い」
「わかった、『はしか』やった」
間違いなく
愛されるべく人
「つまらん奴」こそ
一番愛される
手に入らないから得られるもの
捨てなければ得られないもの
世の中表裏一体
何を望むか?
侮られても良いから
つまらん奴で良いから
愛されていたい
楽しく歌う
八五郎坊主が目に浮かぶ